安心の救急医療へ 東京ルールの挑戦

安心の救急医療へ  東京ルールの挑戦 

『ルール』

(1)患者の迅速な受け入れ
(2)「トリアージ」の実施
(3)都民の理解と参画

救急患者が病院に到着しても、順番待ちで治療が受けられない――。こうした事態を防ぐため、「救急医療の東京ルール」で(2)「『トリアージ』の実施」を掲げている。

トリアージは、傷病者の緊急度や重症度を見極め、治療の優先順位を決定するもので、災害時などの対応が主だった。東京都は、これを通常の救急医療にも応用し、2007年6月から「救急搬送トリアージ」を実施。昨年4月からは小児救急外来での「小児救急トリアージ」もモデル実施している。都はこれらの成果を踏まえ、今後、地域救急医療センターに「トリアージナース」を配置し、救急外来での「病院内トリアージ」の普及を進めていく。

ただ、患者の側から見ると、診察を後回しにされる場合や、受け入れ先が自宅から離れた病院になる場合なども想定される。そのため都は、ルール(3)に「都民の理解と参画」を掲げ、現在、テレビCMや折り込み広告などで「東京ルール」の周知を進めている。また、かかりつけ医を持つことや、「#7119」(※)の活用も訴えながら、救急医療の適切な利用をさらに促していく。

なお、「東京ルール」は、現在ある医療資源を有効活用するものだが、同ルールの運用とともに、都は現在、医学部生への奨学金支給や救急勤務医への新たな手当ての創設なども行っており、中・長期的な取り組みとして、医師不足の解消をめざしている。

    ◇

都議会公明党(中島義雄幹事長)はこれまで、「東京ルール」について機会あるごとに議会質問で取り上げ、都の取り組みを後押ししてきた。また、24時間対応の東京総合救急診療科(ER)開設や、東京型ドクターヘリ導入を推進するなど、都の救急医療体制の強化を一貫してリードしてきた。

9月2日には長橋桂一、橘正剛、松葉多美子、伊藤興一の各議員が、東京消防庁指令室で救急患者受入コーディネーターの業務や救急相談センターを視察。運用状況や今後の救急医療のあり方について関係者と意見交換を行った。

長橋議員らは「『東京ルール』の着実な運用に向け、医療体制の充実に全力で取り組む」と語っていた。

『周産期コーディネーターも設置』

救急患者受入コーディネーターの配置に合わせ、「周産期搬送コーディネーター」も8月31日、東京消防庁指令室に配置された。

産科・小児科での勤務経験がある助産師または看護師などが務めるもので、妊産婦の救急搬送が必要な場合、各消防本部や各総合周産期母子医療センターと連携を取り、受け入れ先の確保に従事する。

※ #7119 東京消防庁救急相談センターの電話窓口。24時間365日体制で医師、看護師などの相談員が、急病やけがの応急処置、緊急性についてアドバイスするほか、医療機関の案内を行う。必要があれば相談員が救急車を出動させる。

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