不登校の隠れた原因

平成18年(2006年)9月10日、日本小児心身医学会から、「起立性調節障害」についての新しい診断・治療ガイドラインが示されました。この疾病は、小学校高学年から高校生に多く見られ、不登校の原因になることもあると指摘されています。

朝きちんと起きられないため、親や教師からは怠け癖がある、夜更かしが原因などと責められてきた子どもたちが、実は血圧などの身体機能の異常による病気を患っており、身体的治療によってかなり改善されることがガイドラインで示されています。

私は、ある不登校のお子さんを持つお母さんからお話を伺いました。学校も大好きで、友人も多く、毎日楽しく学校に通っていた中学生のお子さんが、突然、朝に限って調子が悪くなり、学校に行けなくなってしまったそうです。原因がなかなか判明せず、三つ目の病院でやっと「起立性調節障害」と診断されました。初めは、お子さんが学校に行けないことを責めていたお母さんが、この起立性調節障害が不登校の原因とわかってからは、お子さんの不登校にようやく落ちついて向き合えるようになったというのです。もっと早く原因がわかっていればとのお母さんの声を耳にして、私は、日本小児心身医学会のガイドラインを一日も早く学校関係者の皆さんに徹底してほしいと強く実感しました。

児童生徒の健康相談に関与する養護教諭や学校医などに対し、最新情報を提供して、学校関係者が起立性調節障害という疾病について一日も早く共通の理解を深めていくことが重要だと考え、議会で初めてとりあげました。 その後、都教育委員会を通じ、学校関係者に周知されました。

更に、本年(2009年)4月25日には、「起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応」(日本小児心身医学会理事長 田中英高・大阪医科大学小児科准教授著 中央法規出版、税別1,600円)という、一般向けの解説書が出版されました。私も早速手にとってみましたが、特に「起立性調節障害こここが知りたいQ&A」には、かかりやすい年齢、いじめとの関係などわかりやすく質問形式で書かれていて、大変勉強になりました。

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