「認知症疾患医療センター」で意見交換
東京都議会公明党は、地域包括ケアシステムの構築をめざし、高齢社会血浅くプロジェクトチーム(PT)を中心に、精力的に調査活動を展開している。同PTのメンバーらはこのほど、社会福祉法人・浴風会病院の「認知症疾患医療センタ」(東京・杉並区)を視察し、認知症患者やその家族のサポート外政について関係者と意見を交わした。
何らかの認知症の症状がある高齢者は、38万人を超え(2013年調査)、25年には、65歳以上の18.2%に相当する約60万人に上ると推定されている。都は現在、急増する認知症患者に対応するため、都内12病院【別掲】を認知症疾患医療センターに指定して対策を進めている。
同センターは、介護事業者や地域包括支援センターなど地域の福祉関連機関との連携や、認知症に関する啓発などを担う中核機関。精神保健福祉士や保健師などが対応する「医療相談室」を設け、家族ら介護に当たる側からの相談のほか、かかりつけ医への支援、認知症専門医による診断も行う。また、関係機関の連携強化や専門的な人材の育成などにも取り組んでいる。
浴風会病院の医療センターには、古田伸夫センター長をはじめとする認知症専門医3人のほか、看護師3人、精神保健福祉士2人、臨床心理士1人が配置されている。その医師や臨床心理士などで構成する「認知症アウトリーチチーム」が杉並区に配置されている「認知症コーディネーター」と協力して、認知症の疑いのある人や家族を訪ねて相談に乗る。こうした取り組みが早期発見・診療に結び付き、適切な医療・介護サービスにつながるなど、効果を挙げている。同病院の日置豊見事務局長は、「早めに認知症に気付き、初期の段階で適切に対応することで進行を遅らせることができる」と強調した。
また、入院患者の在宅への復帰を視野に入れたケアにも力を注ぎ、医師や地域包括支援センターの職員、ケアマネジャーを対象とした研修会なども実施している。医療センターの高橋智哉・医療連携係長は、「このセンターの存在を広く知ってもらうことで、患者や家族に対する支援の輪の拡大につながる」として、「住み慣れた地域で安心して生活ができるよう、医療と福祉のさらなる連携を強化したい」と話していた。
都議会公明党は昨年12月、「加速する高齢社会を安心して暮らすために」と題するPTの提言を都に提出。都と区市町村の連携強化を主張するなど、新たな高齢者対策を打ち出している。今回の視察でメンバーは、認知症に対する理解を深めることの重要性を確認。「こうした取り組みを問ないの各地域に広げるなど、患者や家族のサポート体制の充実に全力を挙げる」と述べていた。
【都認知症疾患医療センター】
◆順天堂大学医学部附属順天堂医院(文京区)
◆都保健医療公社荏原病院(大田区)
◆都立松沢病院(世田谷区)
◆浴風会病院(杉並区)
◆都健康長寿医療センター(板橋区)
◆大内病院(足立区)
◆順天堂大学医学部付属順天堂東京江東高齢者医療センター(江東区)
◆青梅成木台病院(青梅市)
◆平川病院(八王子市)
◆国家公務員共済組合連合会立川病院(立川市)
◆杏林大学医学部付属病院(三鷹市)
◆薫風会山田病院(西東京市)