育て!女性職人 一級技能士らが研修会
高齢化などの影響で全国的に左官職人が減少する中、東京都足立区の株式会社大迫(大迫正茂・代表取締役)では、女性など若手職人を育成しようと、毎年数人程度を正規に雇用している。都議会公明党(中島義雄幹事長)の野上純子、中山信行、松葉多美子、加藤雅之の各議員はこのほど、同社を訪ね、女性社員らが技能研修を受けている現場を視察した。
●新入社員 「将来は職長になりたい」
ジャリ、ジャリ―。若い女性が、こてを滑らせる。ねっとりとしたモルタルをすくい上げ、上下左右、自在にこてをさばく。四隅までモルタルを塗り込み、平らな壁に仕上げていく。
専門指導員による技能研修の一コマだ。同社では、若い世代に左官技術を受け継いでもらおうと、社に所属する一級左官技能士らが定期的に研修会を開催。新入社員は入社後、現場での実地作業をしながら、一人前の左官職人をめざし、約1年半にわたり研修を受ける。
主な研修項目は、安全教育に始まり、オリエンテーション(現場見学など)、工具の使い方、各種塗り方など。最終的には「モルタルの金ごて仕上げ」と呼ばれる技術まで身に付けるという。近年、雇用形態の多様化や人材の流動化で性別、年齢といった個人の属性に関係なく就職できる会社が増えている。大迫代表取締役は「若手職人として十分訓練し、女性ならではの感性を生かして立派な職人に成長してほしい」と願っていた。
今年入社した沖縄県出身の喜屋武千夏さんは、「自分がやりたいと思って始めた仕事。きれいに塗れると、とても気持ちがいい」と話し、「いずれは職長になりたい」ときっぱり。「女性でもできるということを示したい」と意気込んでいた。
視察を終えた中山都議は、「若い女性が、ものづくりに意欲的に取り組んでいる様子が分かった。多くの若者が、ものづくりに関心を持てるよう、魅力を発信するとともに、こうした中小企業の取り組みを広げたい」と話していた。