被災地支援 さらに強化を
東京電力福島第1原発事故による風評被害に苦しむ福島県の復興状況を調査するため、東京都議会公明党の中島義雄団長と高倉良生、松葉多美子の両副幹事長、小林健二副政務調査会長は13、14の両日、同県いわき市を視察。観光・漁業関係者などと意見を交わし、今後の被災地支援のあり方を探った。これには、党県本部の甚野源次郎代表と今井久敏、安部泰男、伊藤達也の各県議、市議会公明党(塩田美枝子幹事長)のメンバーが同行した。
『風評被害の払拭策探る/観光・漁業関係者と意見交換』
一行は13日、昨年3月に開場した「小名浜魚市場」を訪れ、県漁業協同組合連合会の野﨑哲会長から試験操業の現状を聞いた。
漁の対象魚種は72種類(3日現在)まで拡大したが、主力魚種のヒラメやアナゴに国の出荷制限が掛かっており、年間の水揚げ量は震災前の2、3割程度にとどまるという。
野﨑会長は、国の基準よりも厳しい自主基準値を設け、魚の安全を確認してから出荷していることを説明し、「風評払拭に奇策はない。安全性を訴え続け、消費者に『大丈夫だ』という安心感を広げていくしかない」と強調した。また、東京・築地市場(中央区)の豊洲(江東区)移転に期待を示し、取扱量の増加など東京からの支援を要請した。
その後一行は、震災時に津波の被害に遭った水族館「アクアマリンふくしま」を訪問。塩見俊夫副館長は「施設は復旧したものの、いまだ県外からの客足が戻っていない」と語り、その一因として、県外からの教育旅行で訪れる学校の数が少ないことなどを挙げた。
意見交換では、都議会公明党が推進してきた被災地応援ツアーや移動水族館車を通した葛西臨海水族園(東京・江戸川区)との交流イベントなどで一層の協力・支援を確認した。
続いて一行は、県旅館ホテル生活衛生同業組合や、いわき湯本温泉旅館協同組合、一般社団法人・いわき観光まちづくりビューローなどの観光団体関係者と懇談。この中で関係者は、後継者不足や復興関係の作業員の減少により、経営を続けられない旅館があることを指摘。また、「人材不足で改修工事もままならない」「風評によって外国人観光客が訪れない」などと問題の深刻さを強調していた。
中島団長は、首都圏からの観光客の増加や2020年の東京五輪・パラリンピックの合宿誘致に関して、「支援策をよく考え、一生懸命に取り組みます」と答えた。
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翌14日、一行は豊間・薄磯地区を訪れ、海岸の災害復旧工事を視察。同地区では、海岸堤防のかさ上げのほか、津波の被害を軽減する防災緑地を整備するなど、複数の手段を組み合わせた「多重防御」による防災力の向上をめざしており、市内7地区の防災緑地整備は19年度までの完了を予定している。
このほか担当者から、復興公営住宅の建設状況や原発避難者への交流・生活再建支援の取り組みなどについて説明を受けた。
都議会公明党は震災直後から、幾度となく被災地を訪れては現地の声を聞き、支援策をリード。議会で「被災地は、いまだ風評被害に苦しんでいる」と実情を訴えてきた。
視察終了後、中島団長らは「原発事故による復興の遅れを、あらためて認識させられた。復旧・復興加速化のため、引き続き支援をしていく」と語っていた。