進む小児がん対策

東京都は国のがん対策基本法(2007年4月施行)に基づき、今年3月に都がん対策推進計画(第一次改定)を策定し、小児がん対策の強化を進めている。都議会公明党(中島義雄幹事長)はこのほど、都立小児総合医療センター(「小児総合」=府中市)を視察し、都の小児がん対策について関係者と意見を交わした。中山信行、遠藤守の両副政調会長、松葉多美子、小林健二の両議員が参加した。

小児がんは、子どもの病死原因の第1位で、年間発症件数は全国で2000~2500人。都内では年間約200人が発症し、1500人ほどの小児がん患者がいると推定されている。

小児総合は今年2月、「小児がん拠点病院」として国の指定を受けた。同拠点病院は全国に15施設あり、都内ではこのほか国立成育医療研究センター(世田谷区)がある。小児総合では昨年度の新規患者数が52人だったが、拠点病院に指定されたことなどから、今年度は、すでに36人を受け入れている。

都内には大学病院など小児がんに対応できる医療機関が数多くあるが、専門分野がそれぞれ異なる。このため都は、患者が最適な治療を迅速に受けられるよう、今年度から「都小児がん診療連携ネットワーク」事業をスタートさせた。

具体的には、今年9月に都内12の医療機関を「都小児がん診療病院」に認定。拠点病院を中心に、この12病院間のネットワークを構築し、患者情報の共有などにより医療体制を充実させる。

都医療政策部の小松崎理香・担当課長は、「患者や家族に対する相談支援や教育環境を整備し、治療の後に起こる合併症などに対応できる長期フォローアップ体制も強化したい」と意欲を示す。

小児がんは、成長期に行う抗がん剤治療や骨髄移植などの影響で、治った後でも発育やホルモン機能などに障がいが残る場合がある。こうした大人のがんとは異なる問題が起こるため、長期的なケアが求められる。また、就学期に長期の入院治療を行うため、小児総合の血液腫瘍科の湯坐有希医長は、「治療後に人間関係や就学・就労などに支障を来すこともある。家族の心理的、経済的な負担も大きく、支援が必要だ」と語っていた。

小児がん対策について都議会公明党は、2009年9月の都議会定例会で、都のがん対策推進計画に小児がん対策を盛り込むよう強く要請。13年2月の定例会では、「小児がんは発育や発達、臓器障がいなどの合併症を引き起こすケースがあり、長期にわたる支援が必要」と訴えるなど、対策の強化を推進してきた。

視察を終えた都議らは「今後も全力を挙げて小児がん対策に取り組む」と語っていた。

<都小児がん診療病院> 東京慈恵会医科大学附属病院(港区)▽順天堂大学医学部附属順天堂医院(文京区)▽東京医科歯科大学医学部附属病院(同)▽東京大学医学部附属病院(同)▽日本医科大学付属病院(同)▽聖路加国際病院(中央区)▽独立行政法人・国立がん研究センター中央病院(同)▽東邦大学医療センター大森病院(大田区)▽慶應義塾大学病院(新宿区)▽東京女子医科大学病院(同)▽日本大学医学部附属板橋病院(板橋区)▽杏林大学医学部付属病院(三鷹市)

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