都議会公明党 防災計画改定への取り組み

東京都では、東日本大震災を踏まえ、9月に地域防災計画(震災編)改定の素案が示される。4月には首都直下地震などによる被害想定が見直され(新被害想定)、その規模が大幅に拡大した。都議会公明党(中島義雄幹事長)は現場調査を重ね、定例会や委員会の審議などを通して、同計画の改定をリードしている。その主な取り組み、提言を紹介する。

発災時の備え
帰宅困難者対策で司令塔明確に

4月に見直された首都直下地震などによる被害想定では、都内の帰宅困難者は最大517万人に上る。公明党は今年2月、JR東京駅など複数のターミナル駅で、同時刻に実施された帰宅困難者対策の訓練に参加し、課題を調査した。

東村邦浩政調会長は予算特別委員会で、今後の訓練について、「総合防災センターが、区と連携しながら列車の運行状況や滞留者の受け入れ状況などを相互に確認し、司令塔となって実施すべきだ」と強調した。

女性の意見生かす体制づくりを

また、東日本大震災の被災地をたびたび訪問し、調査してきた公明党は、避難所の運営などで女性の視点が欠けている実態を確認。松葉多美子議員は定例会で、「女性特有の課題に心から共感し、何が必要かを真剣に考えることは、女性にしかできない」と訴え、地域防災計画の検討組織に女性の有識者を委員として選任することを提案。また、都の女性職員などから広く意見を聞くよう、対応をただした。

マンションのLCP化が効果的

一方、公明党は災害時に避難することなく自宅内にとどまって生活が続けられるLCP(Life Continuity Performance)住宅に注目。これは、停電時でもエレベーターや給水ポンプなどの電源が確保される集合住宅で、普及すれば、避難所の利用者を減らし、仮設住宅の建設も少なく抑えられる。

予算特別委員会で東村政調会長は「都内のマンションのうち約8割が、昭和56年以降に建設され、新耐震基準を満たしている」と指摘し、効果が期待できる既存マンションへの普及を主張した。

ドクターシップの導入を提案

「被災地に向かう船に医療機材を積み、港で降ろして治療を行ったり、医療機材を積んだ船を港に停留させて、被災者の治療を行いながら船を避難所とすることは可能」と定例会で提案したのは、小磯善彦政調会長代行。東京港に寄港する旅客船などを、「ドクターシップ」として活用するよう強調した。

さらに、都が指定する70カ所の災害拠点病院の課題について、「災害時の手術や治療などで、大量に必要となる医療用の水の確保だ」と指摘。受水槽の整備や、飲料水の備蓄などとともに、浄水装置を使った災害用井戸の整備や河川水の利用を提言した。

非構造部材の耐震化が急務

学校施設の安全強化については、東日本大震災で、都内の公立学校の天井や外壁、ガラス、照明器具などの非構造部材の被害が報告されていることを、伊藤興一議員が定例会で確認。「小・中学校の耐震化100%を進めるのと同時に、速やかに非構造部材の耐震強化を図るべきだ」と強調した。このほか、防災教育の充実を提案するなど、公明党は多岐にわたって防災力強化をリードしている。

インフラ(社会資本)の強化
橋の耐震化、防潮堤の津波対応

都が管理する橋は1261本あり、10年後には、その半数が建設後50年を超えることを踏まえ、公明党は6月に隅田川、7月には神田川や日本橋川などに架かる橋を調査。中でも都道の緊急輸送道路などに架かる橋は401本あるが、現状72%まで耐震化が進んでおり、2015年の100%完了をめざす計画を強力に推進している。

昨年5月に、地震工学の専門家と共に、岩手、宮城の海岸線を調査した上野和彦副政調会長は「防波堤が大きなハンマーでたたき割られたように破壊されていた」と語る。東京湾の防潮堤は、新被害想定の最大の津波に対しても高さは十分とされているが、高潮対策として造られているため、「強大な波力に耐えられるのか、しっかり検証するべきだ」(予算特別委員会)と警告している。

給水体制、下水道施設の整備

一方、水道施設については、定例会で長橋桂一幹事長代行が「大震災が発生しても、断水を最小限にとどめ、飲料水を確保することが重要」と強調。196カ所ある都の給水拠点のうち、耐震基準に適合する施設が111カ所にとどまっていることを指摘し、対策が急務であると訴えた。

下水道については、埋設管の破損などによる道路の陥没が、年間1000件ほど発生していることや、老朽化が進み、20年後には整備後50年を経過する下水道が5割を超えることを指摘。耐震化へ改修を急ぐよう迫った。

木密、液状化対策で新手法を

震災時の“最大の弱点”と言われる木造住宅密集(木密)地域については、中島幹事長が定例会で「約150万世帯の都民が居住し、放置できない」と強調。都は「木密地域不燃化10年プロジェクト」実施方針を1月に打ち出しているが、その実行には多くの難題が横たわっていることを指摘。従来の不燃化、耐震助成だけではなく、木密地域の整備費用を、空中権や容積率の移転により捻出するなど、民間のノウハウを生かすよう提言した。

また、木密地域で甚大な被害が及ぶとして指定されている28の整備地域のうち、液状化の危険が予測されている地域が15ある。公明党は東京湾岸で、東日本大震災の際に液状化の被害が大きかった現場を調査し、木密地域の面的整備事業に合わせた液状化対策の推進を提案している。

島の道路、発電所など強化急げ

新被害想定では津波が、御蔵島で最大22.4メートル、三宅島で同18.1メートルなど驚異的な高さで襲ってくる。6月に御蔵島で実情を調査した藤井一副団長は「津波で、唯一の船着き場や、海岸につながる都道が寸断されれば、傷病者や緊急物資の輸送手段が絶たれる」と強調する。

公明党は定例会で、都道などの強化を要請するとともに、海岸近くにある火力発電所が津波で停止しないよう、対策強化を訴えている。

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