区民アンケート基に政策提言
公明党東京都本部の杉並総支部(松葉多美子総支部長=都議)はこのほど、杉並区役所内で田中良区長に対し、介護に向き合う住民への福祉施策を具体化するため、先に行ったアンケートを基に「すぎなみ地域創造型福祉」の実現に向けた政策提言書を提出した。併せて、青年政策の拡充を求める要望書も区民の署名簿を添えて手渡した。
在宅介護 70代以上の過半数が「一人で」高齢者を孤立させない支援を
区によると、区内の人口総数のうち65歳以上の高齢化率は21.01%(4月1日現在)に上る。こうした高齢者の増加に伴い、同総支部は「地域の特性に即した高齢者支援のシステム構築が喫緊の課題」として、昨年12月8日から今年3月2日にかけて約8000人の区民を対象に、介護の実態に関するアンケート((1)区民全般向け(2)要介護者・介護家族向け)を実施した。
「区民全般向け」では、介護の不安について、自分や家族が寝たきりや認知症になることへの恐れ、経済的負担、仕事の継続などの声が多かった。
「区に望む福祉政策の充実は」(複数回答可)に対する答えは、「一人暮らしの高齢者への援助」(64.5%)が最も多く、「家族などの介護者に対する援助」(50.3%)などが続いた。
一方の「要介護者・介護家族向け」では、全体の67.1%が在宅介護を行っていることが判明。在宅介護で困っていることとして、「介護する家族の負担が大きい」「緊急時の対応が不安」「一時入所できる施設がない」といった声が寄せられた。
中でも、「家族の介護を一人でしているか」との問いに対しては、70代以上の過半数が「一人で」と回答。また、「配偶者と二人暮らし家族」の63.8%が、同居している配偶者を介護していることが分かった。
「若者に魅力ある杉並」へ 青年党員が街の声聞き要望
青年政策については、青年党員が2月1日から1カ月かけて、魅力的で暮らしやすい杉並区をめざして、街頭アンケートなどを実施。1056人から回答と青年政策の拡充を求める要望書への賛同署名が寄せられた。
アンケートには特に、子育てについて「保育施設の数や定員が少ない」、出産後の育児について「シングルマザーのため困っている」「妻が働けなかった」などの回答が見られた。
以上のアンケート結果を基に同総支部は田中区長に対し、「高齢者の負担を軽減するため、孤立させない地域支援が求められている」と強調。提言では、区民が自発的に支え合う「互助」のネットワークを基盤とする「地域創造型福祉」の実現をめざすとしている。
具体的には、(1)在宅介護・生活支援の多様な担い手の確保(2)一人暮らし高齢者の見守り(3)認知症対策―など、7項目にわたって提言した。
また、若者に魅力ある街の発展に向けて(1)新たな産後ケアの充実で妊娠、出産期の支援強化(2)マッチング事業で区内雇用の促進(3)魅力ある若者向けのコンテンツ(アニメや音楽など)を発信する地域として整備―などを要望した。
田中区長は公明党の調査結果を大いに活用していくとし、「地域包括ケアシステムの構築に向けた支援に、手を緩めずに全力を挙げていく」と答えた。青年政策に関しては「産後ケア事業は公明党の提案で実現した」と述べ、若者の意見を区の施策に反映できるよう努めていく考えを示した。
当日は、松葉総支部長のほか、公明党の横山えみ、島田としみつ、渡辺ふじお、おおつき城一、川原口ひろゆき、北あきのり、中村やすひろ、山本ひろこの各区議(いずれも区議選予定候補)が同席した。