【識者が語る】がん対策に陽子線導入。多くの患者に恩恵。

東京大学大学院医学系研究科特任教授・中川恵一氏からのコメントをご紹介します。

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(がん対策)陽子線導入、多くの患者に恩恵

 がんは都民の死因第1位であり、4人に1人が亡くなっています。高齢化が進めば、がん患者はさらに増加するでしょう。

 都議会公明党が推進してきた、放射線治療の進化系である「陽子線治療」の都立駒込病院への導入が決まりました。

 陽子線治療は病巣をピンポイントで攻撃でき、副作用を抑えられます。特に小児がん治療においては、従来の放射線では成長障害や二次がんのリスクがあるため、非常に重要な役割を果たします。

 また、患者にとって通院のみで治療が完結でき、仕事との両立ができる利点があります。さらに、幅広いがんが保険適用となっており、高額療養費制度で経済的負担を抑えられるなど、患者にはメリットしかない治療法です。ただ、施設整備の費用や敷地の確保などがネックとなり、都内には導入されていませんでした。

 都議会公明党が必要性を訴え続け、導入が決まった陽子線治療は、子どもから高齢者まであらゆる年代のがん患者にとって、治療の選択肢を増やす大きな恩恵があります。

1960年生まれ。東京大学医学部付属病院放射線科准教授、緩和ケア診療部長などを歴任。

検診強化さらに

 今後、力を入れてもらいたいのは早期発見・治療に向けたがん検診の強化です。特に、がん死因3位となっている膵臓がんは、国のがん検診から外れています。例えば、都独自に膵臓がん検診の支援を行ってはどうでしょうか。子どもと一緒に大人も「がん教育」の授業に参加できる仕組み作りなど、命を守るがん対策をリードしてほしいと願っています。(2025/06/01 公明新聞3面)

 

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